内職に関する基本情報
家内労働法の対象
内職に関する基本的な事項は、家内労働法で定められています。始めに、この法律の対象となる「家内労働者(内職従事者)」「委託者(発注者)」について簡単にまとめてみました。
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家内労働者(内職従事者)とは
通常、自宅を作業場として、製造・加工業者や問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人で(もしくは家族とともに)、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取っている人のことです。
通常、サービス業分野の在宅ワーカーは、家内労働法上の家内労働者には該当しませんが、例外として、フロッピーディスク等で納品するワープロ入力業務は、家内労働法の適用になります。
<参 考>
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家内労働者(内職従事者) |
家内労働者には該当しません |
発注者は? |
1.製造・加工業者や問屋などからの請負業者 |
6.一般の家庭など |
仕事の内容は? |
2.物品の製造・加工など |
7.セールス、運送など |
原材料は? |
3.発注者から提供を受ける |
8.自分で調達 |
収入は? |
4.物品の加工賃 |
9.製品の売上げ |
作業者は? |
5.自分自身、または同居の家族と共同 |
10.常に他人を雇用 |
※1〜5のすべてにあてはまれば家内労働者です。
※6〜10のいずれか1つに該当すれば、家内労働者には該当しません。
※大規模な機械設備を有する作業所の場合も家内労働者には該当しません。
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委託者とは
製造・加工業者や問屋などの業者で、家内労働者に提供し、物品の製造や加工などを委託している人のことです。
家内労働法のきまり~委託者(発注者)の皆さんへ~
家内労働法は、委託者(発注者)に様々な義務を定めています。
主なものをまとめてみました。
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「最低工賃」の決まりがあります
業種によっては、最低工賃が定められています。
最低工賃額は、最低額の意味ですから、この額を下回る工賃での委託は無効になり、最低工賃以上の工賃を支払わなければなりません。
※山形県では、次の3業種について、最低工賃が決められています。
山形県男子・婦人既製服製造業
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工賃を支払うときに注意することは
家内労働者(内職従事者)は、工賃で生計を立てています。工賃の支払いが遅れたり、まったく支払われなかったりすると、家内労働者(内職従事者)は生活に困ることになります。このようなことがないように、工賃の支払いについて次のとおりに義務づけられています。
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工賃は、原則として、現金で、その全額を支払わなければなりません。
家内労働者(内職従事者)の同意がある場合は、郵便為替、銀行などの預金口座への振込み、郵便振替口座への振込みまたは振替でも支払うことができます。
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工賃は、家内労働者(内職従事者)から製品を受け取ってから1カ月以内に支払わなければなりません。
毎月一定期日を工賃締切日として定めている場合は、その工賃締切日から1カ月以内に支払わなければなりません。
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委託条件をはっきりさせておきましょう
委託者が家内労働者(内職従事者)に仕事を委託するときは、あとで無用なトラブルが生じないようあらかじめ工賃などの委託条件を文書ではっきりさせておくことが必要です。
家内労働法では、委託者は家内労働者(内職従事者)に必要事項を記入のうえ、家内労働手帳を交付することになっています。
(必要な事項が記入されていれば、いつも使っている伝票等でもかまいません。)
必要な事項
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仕事を頼むときの基本的な事項
・家内労働者(内職従事者)の氏名
・委託者の氏名
・営業所の名称・所在地
・工賃の支払方法その他の委託条件等
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原材料の受け渡しのつど
・委託業務の内容
・工賃単価
・工賃の支払期日
・納品の期日等
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物品の受け渡しのつど
・受領年月日
・工賃支払額
・伝票式家内労働手帳のモデル様式(厚生労働省作成)
基本委託条件の通知
注文伝票と受入伝票
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労働基準監督署への届出と帳簿類の備え付け
委託者は、委託する仕事の内容や家内労働者数などについて、毎年4月1日現在の状況を4月30日までに、管轄する労働基準監督署に届出なければなりません。(委託状況の提出)
委託者は、家内労働者又は補助者が委託した仕事に関して、負傷したり疾病にかかり4日以上仕事を休んだ場合、又は死亡した場合には、速やかに管轄する労働基準監督署に届出なければなりません。(家内労働者死傷病届の提出)
委託者は、家内労働者の氏名や工賃支払額などを記載した帳簿を備え付けておかなければなりません。また、この帳簿は3年間保存しなければなりません。
詳しくは、最寄りの労働基準監督署に確認ください。